画材 8  ステンレス製のガンタッカー・ステープル

 

 このたび、ステンレス製のガンタッカー・ステープルを入荷しました。
木枠にキャンバスを張る際にガンタッカーをお使いになる方が増えてきましたが、一般には鉄製の軟線で出来たものをご利用ではないでしょうか。
マックスステープルTS-13S
 画家の皆さん、作品の保管場所は空気のよどんだ所ではないですか?。よく言われることですが、日本は湿度の高い国です、そしてどうしても風の流れが淀んだ場所は湿気が溜まりやくなります。
 まして、昼夜で寒暖の差が大きい場所は結露しやすくなり、さらに湿気を帯びやすくなります。

 たとえば、古い油彩画の額装を承る際に、キャンバスを張るタックスが錆びてボロボロになっていることが多々あります。
 タックスが効かなくなり緩んだキャンバスを張りなおすことは、それだけでも作品の絵具層にダメージを与えかねません。錆が作品の表に付着し汚してしまうこともあります・・・・・・・。


 タックスの錆の短所ばかり挙げましたが、本来、釘の程よい錆は抜けにくくするための重要な要素です。でも、適正な管理は難しいものです。
 そこで錆びにくいステンレスなのですが、錆が無くてもこのステープルは抜けにくくなる(保持力を高める)工夫がなされています。左右2本の足が、前後に開いて止まる加工です。真っ直ぐ並行に刺さる物と違い、素材への食い付きが良くなっています。

 また、先に述べた一般的な鉄の軟線製は破断しやすいため、キャンバスを張る際に撃ち損じたステープルを引き抜くのが難しいことがあります。これに比べ、ステンレス製はステープル1本1本の強度が格段に高いので、作業しやすく、その後も安心して保管しておくことが出来ます。

マックス製 ガンタッカー用ステープル ステンレス製 T3-13S
肩幅12mm 足の長さ13mm 1000本入り/1箱
税込価格¥500円/1箱 (箱の外観は変わることがあります)

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東京 額装工房 古典技法額縁 アトリエ・モン・ラトン
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画材 3  ボローニャ石膏 その2

 

今日は、季節外れの南風。
陽気に誘われたのか、近所のドッグランは満員、暖かさに犬たちも喜んでいるかのようです。

さて、きのうに続き「ボローニャ石膏」の話です。
ボロニア石膏

まず、膠液の中にボローニャ石膏を投入します。
お菓子をつくるときと同様に、石膏の粉を篩にかけて、膠液に馴染み易くしてやります。

程よい量を投入したら、5分ほど放置して石膏が落ち着くのを待ちます。
重要なことを書き忘れていましたが、膠液は60℃以上で長時間加熱すると接着力が弱まります。
ですから、なるべく低い温度で扱いますが、石膏を入れると液温がさがるので、ぬるめに湯煎しておきます。
泡立たないように気をつけながら撹拌したら、いよいよ石膏を塗る作業です。

石膏下地の塗装は少ない場合でも4回、多い場合は十数回重ねます。
どのような雰囲気の額縁に仕上げるかでその回数が変わります。

すっきりした印象に仕上げるときは、回数を少なくします。
土台となる木地の断面形状がはっきり出ますから、軽やかでシャープ。

反対に、塗る回数を重ねるほどに、こっくりと豊かな感じになります。
物理的に多くの量を塗られた下地は、見た目も重厚。

さらに、塗るときの刷毛さばきでも、印象はがらりと変わります。
単に平たく塗ったとき、わざと石膏の多いところと少ないところを作ったとき、細かい凹凸をつけて塗るとき…、この塗り方の選択で、最終的なフレームの印象がほとんど決められます。
ですから、作業の初めから、仕上がりをはっきりとイメージして進めなければいけません。
でも、重要な工程ですが、仕事の中で一番楽しい時間でもあります。

塗り終わった下地は、一晩寝かせて乾燥させたあとに「研ぎ出しを」されます。
紙やすりで研磨するのですが、3種類ほどヤスリの粗さを変えて行います。
粗い目から、だんだん細かい目に変えます、ここでも最終的な仕上がりの肌合いを考えて紙ヤスリの番手を選択します。

研ぎ上がったら細かい粉を払って次の工程へ。
金箔を貼るための「箔下との粉」の塗装です。



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画材 2  ボロニア石膏 その1

 

暖かく穏やかな一日でした。
午後からは一人でアトリエでの作業、CDのボリュームをちょっと大きくして音楽三昧。
最近のお気に入りは、
Lorenz Duftschmid  Antoine Forqueray  Pieces de Viole
やっと手に入れたドゥフトシュミットの、
[フォルクレ 「ヴィオールのための作品全集」]

フォルクレのヴィオールでの全曲集は、このほかにパンドルフォ盤がありますが、断然こっちが好みです。
中でも第5組曲。レオンハルト+クイケン兄弟の残した名演奏とはまた一味違う心地よい重さが、濃密な日没時を演出します。


さて、今日の仕事は、前日に下膠を塗った木地の上に、石膏下地を塗り重ねる作業。
yhoo!での旧額装家12ヵ月と似たような内容ですがご容赦を。

アトリエ・モン・ラトンでは膠液にボロニア石膏を混ぜたものを使っています。
ボロニア石膏以外にも下地用の白色顔料は、ソチーレ、(工業的な)炭酸カルシウム類、白亜(フランスのムードンなど)、胡粉(牡蠣や帆立貝などの貝殻の粉末。描画用には蛤などの高級品もある)などがあります。

日本で一番使用されているのは牡蠣や帆立の胡粉ではないでしょうか。
昔から多くの工芸類の下地材として使われてきましたから、当然額縁の制作にも用いられました。
これには原料の入手のし易さが大きく関わっていると思います。
また、日本で作られていた膠との相性も良かったようです。


それでは何故、アトリエ・モン・ラトンは容易に手に入り、コストも抑えられる胡粉を使わないか?
それは、仕上がりの「硬さ」が好みに合わないからです。
物としての「硬さ」は、見た目にも「硬さ」となって現れます。
どうもこの印象が好きではありません。

一方、ボロニア石膏ですが、こちらは仕上がりが「柔らかい」です。
でも。スポンジのようにフワフワ柔らかいわけではありませんよ。
ボロニア石膏は、爪で叩いたぐらいでは別に傷はつきませんが、触った痕跡が手のぬくもりとして、味わいが記録されるような印象です。
時間の経過を受け止めてくれるような、おおらかさを感じます。

ところが、胡粉は爪で叩いてもカチッと跳ね返す感じ。
でも、硬すぎて、ボロッと脆いような気にさせます。


ボロニア石膏には、もう一つ大きな特徴があります。
それは、顔料の粒子の大きさにばらつきがあることです。

粒がそろった下地は、一見きれいなようですが、箔のメノウ磨きのときに剥離しやすくなります、粒子と粒子の絡み合いがないからです。
ソチーレや胡粉、工業的な炭酸カルシウム類にはこのようなことが言えます。
粒子の大きさのばらつきは、メノウで磨く、つまり表面を圧迫して滑らかにするわけですが、粒子と粒子の間にもともと隙間があるので、この力をうまく吸収し、しっとり艶やかな仕上がりを得ることができます。

……この、下地の話。まだまだ長くなりそうです。
今日はこの辺で。


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画材 1  膠

 

今回は額縁の制作に使う画材の話を少ししてみます。

先ず最初の工程は、下膠塗り。
膠だけを塗ることで、木地の吸い込みの目止めをし、この後の下地塗りの定着を良くします。

この膠、種類は、牛の膠、鹿膠、魚の膠、兎の膠などなど様々あります。
日本画の世界では主に、鹿膠を使うことが多いようですが、ヨーロッパでは一般的に兎膠が最も良いとされています。

また、木工作業や、日本での昔ながらの額縁職人さんでは牛の膠などが使われているようです。
牛の膠は、板状であったり、「パール膠」という商品名で粒状のものがあったりします。
ガチッと堅く、強力に固まる感じがします。
額縁の木地を制作する際の、材と材を張り合わせには適していると思うのですが、僕の好みからすると、下地塗り用には堅すぎると感じています。
まさに動物の臭い、結構キツイです。

そこで、当方で使用しているのは、兎膠。

IMG_4695

接着力は強力ながらも、水を含むと柔らかさが戻るような気がします。この柔らかさが、金箔を水押メノウ磨きをするときに大きく影響するのです。
ヨーロッパでは板状のものも出回っているようですが、国内で入手しやすいのは、それを粉砕した細かい粒状の物。
板状の牛膠は、一晩の膨潤時間が必要ですが、兎膠は2~3時間で十分なので、扱いやすいということも嬉しいことです。

ここで、膠の膨潤について一言。
粉上の膠の場合、ある程度の量の水を容器に入れてから、膠を投入したほうが良いです。
冷蔵庫で冷やす必要はありませんが、ある程度冷たい水を使ってください。
一番最初に膠を容器に投入したり、ぬるま湯を加えたりすると、ダマになった膠の表面だけふやけて、大きな塊になってしまいます。
そうすると塊の中まで水分が行渡らないので、膨潤に長時間費やされます。
特に急いでいるときはご注意を。

さあ、下膠を塗り終えたら、次は石膏下地塗り。
この下地塗りも、職人さんによって選ぶ顔料は様々。
次回は、この下地塗料について記します。

 

当方ではフランス産のウサギ膠を販売しています。

100g/1,260円  500g/4,725円  1000g/6,825円

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追記:「パール膠」と日本画で使われる「三千本膠」は製造中止だそうです。
 

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